
6c1750 GRAN SPORT
初冬の甲斐路に、エグゾーストノートが響く。
キリッと冷たい空気が、緊張感をより心地よい物に変えてくれる。
震えているのは、寒さだけのせいじゃない。
足早に家路に着く人々で交差する街に繰り出そうとしているのだ。
ビットリオ・ヤーノは、果たして今から起こる事態を想像しただろうか?
21世紀まで秒読みに入った師走の夕暮れに
6c1750 GRAN SPORTは、ごく自然に走り始めた。
それは、あっけなくもあった。

風を切り交通の流れに乗る、現代の車にも負けない加速で、
目的地のワインディングを目指す。

落ち葉を舞い上げ力強い加速を見せる。
バンバンとアクセルをあおり、回転数を合わせシフトダウンする。
タイトなコーナー、減速し過ぎは禁物だ。
スーパーチャージャーが加給を止めると6cは とたんに
走るのを止めてしまうからだ。
これはまさに戦前のレーシングカーなのだ。
見えない敵を追いかけ、迫り来るライバルに差を付けるのだ。
誰よりも速く走る為にドライヴァーは全神経を注ぎ、ひたすら操縦を続ける。
遥か1000マイルのゴールを目指し!



ドライヴァーとコドライヴァーに不思議な連帯感が沸き立つ。
車とも呼吸がぴったりと合ってくると、まさに人馬一体。
もう、停まる事を拒否したかのように6cは乾いた排気音を
オレンジ色を放ち始めた空に響かせていた。
足元に熱風を感じ始めた。
もろに風を浴びて、歯は渇き、目には涙が溢れてくる。
未だ走り足りない気持ちを押え
帰路を味わうように6cは戻ってきた。



1931年に産まれ、既に70年の時を越えて、今なお愛され続けて来た。
先進の自動車テクノロジーを嘲笑うかの様に
6cはその個性と研ぎ澄まされた性能を見せてくれた。
alfa romeoその名はスポーツカーの代名詞でもある。
時代を超え、走りつづける者を魅了して止まない車・・・
それが、alfa romeo なのである。
